高輪泉岳寺にて十一面観世音などの御開帳が始まり様々な見世物が登場する
二月二十七日より60日間にわたり、高輪の泉岳寺(現在の東京都港区高輪二丁目周辺)において、十一面観世音および摩利支天の御開帳が開催されました。
開帳にあわせて赤穂浪士(浅野家義士)の遺物も一般に公開されました。
このとき境内には見世物として、一間(約1.8m)余りもある巨大な螺(法螺貝)の造形をつくり、そこに山伏2、3人が驚いている姿を模した人形が展示されました。
著者(斎藤月岑)も参詣した際、この見世物の出資者(金主)の一人である菅村某の案内で見物しました。
著者が「なんと見事な細工か、本物そっくりだ」と感嘆したところ、金主は狼狽して手まねで著者を制しました。
この見世物は漆喰(しっくい)で作られた創作物であるものの、見物客には「本物の巨大法螺貝」と偽って見せる仕掛けだったため、金主としては「これは珍しい、世の中にこんな大きな法螺貝が存在するとは」と本物として褒めてほしかったのであり、著者の「素晴らしい造形細工だ」という褒め言葉が商売上の意図と食い違ってしまったという、滑稽なエピソードが残されています。
開帳にあわせて赤穂浪士(浅野家義士)の遺物も一般に公開されました。
このとき境内には見世物として、一間(約1.8m)余りもある巨大な螺(法螺貝)の造形をつくり、そこに山伏2、3人が驚いている姿を模した人形が展示されました。
著者(斎藤月岑)も参詣した際、この見世物の出資者(金主)の一人である菅村某の案内で見物しました。
著者が「なんと見事な細工か、本物そっくりだ」と感嘆したところ、金主は狼狽して手まねで著者を制しました。
この見世物は漆喰(しっくい)で作られた創作物であるものの、見物客には「本物の巨大法螺貝」と偽って見せる仕掛けだったため、金主としては「これは珍しい、世の中にこんな大きな法螺貝が存在するとは」と本物として褒めてほしかったのであり、著者の「素晴らしい造形細工だ」という褒め言葉が商売上の意図と食い違ってしまったという、滑稽なエピソードが残されています。
【 史料原文・書き下し文 】
○同月二十七日より六十日の間、高輪泉岳寺十一面観世音・摩利支天開帳(浅野家義士の遺物を見せしむ。此時、境内見せ物に、一間余りの螺の形を作り、山伏二、三人、驚たる躰の偶人を作れり。おのれも当寺に詣して、この見せ物の金主の内、菅村某の案内につれて是を見て、さても不思議の細工かな、真の物に等しといひけるを、金主うろたへ手まねして、これをとゞめける。是はしつくいといふ物にて作りしが、真の物といつはり見する手段なれば、こはめづらしや、かゝる螺も世には有けるよ、といひて譽べきよしにて、金主の意とたがひたるもをかし)。(武江年表)
出典・参考文献: 武江年表
