浅草聖天町より出火し猿若町三座芝居・大川を越え小梅水戸家下邸へ延焼
十一月五日の亥の刻(午後10時頃)、浅草聖天町(現在の東京都台東区浅草周辺)より火災が発生しました。激しい西風にあおられて猿若町三丁目へと燃え広がり、同二丁目・一丁目にある江戸三座(中村座・市村座・森田座)の劇場や芝居茶屋が一円全焼しました。さらに聖天横町、金龍山下瓦町、山の宿町一の権現、花川戸町、六軒町(いずれも台東区浅草・花川戸周辺)、浅草寺地中の10箇所院や借地町家などがことごとく焼失しました。火勢は大川(隅田川)を越えて対岸の小梅(墨田区向島周辺)にある水戸家下屋敷へ移り、小梅町の料理屋「小倉庵」の手前にて止まり、明け方に鎮火しました。被害範囲は長さ5町20間余(約580メートル)・平均幅1町25間余(約155メートル)に及びました。(※聖天町の霊符社は焼失を免れ、本龍院は門前町家のみ焼亡し、本社および山上別当は無事でした。)
【 史料原文・書き下し文 】
○同五日、亥刻、浅草聖天町より出火。西風烈しく猿若町三丁目へ移り、二丁目・壱丁目・三座芝居幷茶屋、其外一円焼け、聖天横町・金龍山下瓦町・山の宿町一の権現・花川戸町・六軒町・浅艸寺地中十箇院・借地町家等焼亡(霊符の社は残る)。本龍院は門前町家のみ焼く。本社幷山上別当、恙なし。此火、大川を飛て、小梅なる水戸侯下邸へ移り、小梅町小倉庵(料理屋)の手前にて止り、黎明に鎮火す。長五丁二十間余・幅平均して壱丁二十五間余と云ふ。(武江年表)
出典・参考文献: 武江年表
