【政治・社会 / 法令・制度】 嘉永五年正月十五日 (西暦 1852-02-04)
干支: 年[壬子] 月[壬寅] 日[丙申]
月相: / 節気: 立春

乾燥と相次ぐ火災を受け幕府が火の元取締りを厳令

昨冬から全く雨が降らず、火災が相次いで発生したことを受け、正月十五日より幕府から火の元の守り方を厳重にするようお触れが出されました。
町内の番屋では人員を募り、昼夜を問わず怠ることなく時々刻々と、それぞれの地所内の路地裏を見回る体制が取られました。
消火の要具として、天水桶、竹梯子、刺股、龍吐水、水鉄砲、水桶、水籠、目見当の幟、提灯などを整えて飾り置くことが義務づけられました。
さらに、大風が吹いた際には拍子木を打って合図とし、飲食店(貸食舗)、料理屋(河漏肆)、豆腐屋、銭湯など、その他火を大量に使う商売の家々は、連日その営業を停止すべき旨が指示されました。
この厳戒態勢の中で、「拍子木の音で眠れないほどの風の強い夜は、頭痛薬代わりに拍子木の音すらも頭に響く薬のようだ」と世間では皮肉交じりに語り継がれました。
【 史料原文・書き下し文 】
○去年冬より更に雨降らず。火災度々に及ぶ。よつて正月十五日より、火の元守方厳重の御沙汰あり。町中番屋、人数を募りて、昼夜に怠らず時々刻々、地所毎に路次内を見廻り、天水桶・竹階子・差股・龍吐水・水鉄炮・水桶・水籠・目印の幟・挑灯等、救火の要具を整へて、飾り置り。又、大風の時は拍子木を打て相図とし、貸食舗・河漏肆・豆腐屋・銭湯、其外大火を焚く家は、連日其活業を停むべき旨を示さる。拍子木に寝られぬ風の頭痛にはむべふり出しぞくすりなりける(武江年表)
出典・参考文献: 武江年表