【事件・災害 / 自然災害】 天和二年十二月二十八日 (西暦 1683-01-25)
干支: 年[壬戌] 月[癸丑] 日[辛卯]
月相: / 節気:

天和の大火。駒込大円寺より出火し江戸東部を全焼・死傷者多数

十二月二十八日の未の下刻(午後3時半頃)、駒込大円寺(現在の東京都文京区向丘周辺)より火災が発生しました。火は本郷、上野、下谷池之端、筋違御門、神田、日本橋、浅草御蔵・御門、馬喰町、矢の御倉、両国橋を焼き落とし、隅田川を越えて本所・深川まで達して夜に入り鎮火しました。被害は絶大で、財産を失う者・焼死者・怪我人が膨大にのぼり、天神の台(現在の文京区湯島3丁目)で多数の死者が発生しました。被災者たちが路上で嘆き悲しむのを憐れみ、学寮の了翁僧都は蓄えた1,200両余を投じて被災困窮者を救済しました。
勧学屋の貴重な書籍1万4千巻が灰燼に帰したほか、深川の芭蕉庵にいた松尾芭蕉も、池に飛び込んで煙を逃れる事態となりました。この火事の後、幕府により本所の士民の家宅が取り払われて一時田圃へ戻されました。
※市村屋注:のちに天和の大火・八百屋お七の火事と呼ばれる大火です。
【 史料原文・書き下し文 】
○十二月二十八日(陽暦一六八三年一月二五日)未下刻、駒込大円寺より出火、本郷・上野・下谷池のはた・筋違御門・神田の辺・日本橋まで、浅草御蔵・同御門・馬喰町辺・矢の御倉・両国橋焼落。本所・深川に至る。夜に入て鎮火す(此火事に遇ふて財宝を失へるもの、或は焼死・怪我人等夥しく、天神の台死人多く、道路に悲ひ泣きうのさまを哀憫して学寮の了翁僧都、四年来貯へ置れし書籍の料一千二百両の余を貧人に施せり。この時、池のはた仲丁勧学屋の市店、土蔵に火入て、多年求置ける内外の書籍一万四千余巻灰燼となりしといへり。深川の芭蕉庵、急火にかこまれ、翁も湖にひたり烟中をのがれしといふは、此時の事なるべし)。此火事後、本所士民の家を払せられ、元の田圃と成る。(武江年表)
出典・参考文献: 武江年表